「嫌なら嫌と言え」
それは、安逸とした暮らしから一転して、手に手をとっての逃避行の果てに、２人で暮らすようになってから、ヴィクターが一番に言ったことだった。
「言わなきゃ分からない。いくら兄弟でもな。だから、どうでもいいんならともかく、これだけは絶対嫌だ、ってことは、はっきり言うんだぞ、いいな？」
それが一番初めに決めた、２人のルールだった。
「……や、なら言えって……言った、よな……ヴィク、タ……っ」
息を弾ませてジミーは言った。
その声にヴィクターは、ジミーの股間に埋めていた顔をゆっくりと上げた。
脱がされかかったジーンズの間の股座にある、口元がてらてら光っている顔を見下ろすのは気分のいいものではないし、そうでなくても強面のヴィクターがにやついているとさらに怖い顔になるのであんまり笑わないで欲しいとか、言いたいことはたくさんあったが、本当に言いたいのはそういうことではなかった。
それにジミーは、ヴィクターのそんな表情には弱かった。自分を組み敷いて、いいように喘がせていることに、心底満ち足りている顔には。
「なんだ、ジミー？」
実の兄弟とこんなことをしている罪悪感など、薬にしたくてもなさそうなヴィクターの様子を見ていると、まだこだわりを捨てきれないでいる自分が馬鹿馬鹿しく思えた。それでもジミーにとってヴィクターは、頼れる兄である前から大好きな幼馴染みで、こんな風になる前から、好きで好きでたまらない相手だった。だが、物には限度というものるのもまた事実だった。
「……いつ、まで……ぁうっ！」
ジミーのかわいい小言の内容などお見通しのヴィクターは、突然中断した口での愛撫を欲しがって、ひくひく震えているそこに、いたずらな指を這わせていた。「…ヴィ、…ヴィク…た…やめ、やめ…ろ……っ」
ヴィクターの伸ばした爪で、先をこじるようにすると、ジミーは大きく身をのけぞらせた。ジミーが浅く腰掛けたままのソファの背が大きくしなった。廃屋同様だった家を安く手に入れて、２人で手を入れた住まいで、家具もほとんど手作りだった。
土地柄、材木は安かったからという理由もあったが、極めつけに頑丈に出来ている兄弟２人が普通に使っても、ちょっとばかり激しく使うことがあっても、壊れないだけの強度が必要なのもあった。
「どうしてまたそんなことを」
さも意外なことを言われたというように、わざとらしく目を見開いた。
「言うんだ？」
そして、望みどおりそこをいじるのはやめて、悶えるばかりとなったジミーの上に覆いかぶさった。
「まるで俺がおまえを」
耳元で聞こえるヴィクターの声にも小さく喘ぐジミーの、耳といわず頬といわずあちらこちらを猫のように舐めながらヴィクターは囁いた。シャツのボタンは自分でむしりとるようにしてはずしたが、中に着ていたアンダーはたくし上げられたりその上から爪でなぞられたりと中途半端なことになっていた。
「いじめてでもいるみたいじゃないか」
ぺろぺろと舐められて、いたずらなのは何も手だけではなかった。出しっぱなしの局部は腿でこすられ、膝はジミーの足を不埒な動きで撫でっぱなしだった。さっきまで一緒に舐められていた後ろはもっとひくついていて、薄く開けられたジミーの口からは、今にも希う言葉がもれそうになっていた。
「……いじめて、るだ、ろ……この……っ」
悔し紛れに押しのけようとしても、ヴィクターがそんなことを許すはずもなく、結局はモノ同士が擦れあい、さらに感極まる羽目になるのだった。
「……おまえも懲りないな」
そんなところがかわいくてたまらないという気持ちがありありと浮かべた顔でヴィクターは言った。
「どうしてそんなことを、言うんだ？」
喉を舐め上げられていたので、ジミーはそのとき目を瞑っていた。だからヴィクターの、真剣そのものの顔で囁く場面を、残念ながら目にすることが出来なかった。
「こんなに……かわいがってるのに……」
「嘘、つけ……」
「いいのか、そんなことを言っても？」
ヴィクターのいじわるな手から逃がれようともがいているうちに、とうとうジミーは背を向けることに成功した。
「ほら、……こっちがすっかりお留守になってるぞ？」しかしそれは、無防備に後ろを晒して、さあどうぞと言っているも同然の格好だった。まだ足にわだかまっていたジーンズを下着ごと抜きさり、ヴィクターはそれらを適当に放り投げた。
そして、招待されたも同然の場所へ、さきほどまでの行為ですっかりぬるんでいる場所へ、ヴィクターの訪れを今か今かと待ち望んでいる場所へ、ゆっくりと己の怒張をあてがった。
「……あっ」
「どうする、ジミー？」
どうするも何も、すっかりやる気なくせにと思うとジミーは、涙の浮かんだ目で、それでも顔を向け、キッとヴィクターを睨んでやったのだった。本当なら今頃は、ゆっくりと食事をしていていい時間だった。それなのにヴィクターは、木の切り出しという、給料は安いが心穏やかな仕事を終えて、ヴィクターが待っているからと、脇目もふらずに帰ってきたジミーの腕をいきなり掴んで引き寄せたのだった。
することもなくジミーを待っていたヴィクターは、ジミーが帰るのを待ち構えていた。昨夜もジミーが音を上げるまで濃密な時間を過ごしたというのに、ことジミー相手の欲望となると、衰えを知らないヴィクターは、朝になってもまだしゃっきりしないでいるまま出かける支度をするジミーにまた不埒ないたずらを仕掛けてきた。
ふざけているだけなのも、ジミーが一人で仕事に行ってしまうのがちょっと気に入らないだけなのは分かっているのだが、収入がなければ干上がってしまうし、周囲も納得の収入がなければ共同体の側にはいられない。２人でいれば、人里離れた場所でも生きていくことは出来るだろうが、それは最後の手段だった。
傭兵をしていた頃の金や、チームＸのときの金も、いつまでもあるわけではなかったし。それに、以前ならいざ知らず、宇宙に衛星を飛ばしてまでして、あまねく世界を知り尽くそうとしているこのご時勢に、そう簡単に身を隠して過ごせるとは思えなかった。どうしたって世間と折り合いをつけられるものが必要なのは分かっているはずなのに、ヴィクターはときどきこうしてジミーを困らせていた。
それでもどうにか、低く笑うヴィクターを振り切って仕事に出たものの、怪我をしないようにするのがやっとの有様というくらいに、朝の熱は残っていた。ジミーが挨拶もそこそこに、急いで帰ってきたのは、ヴィクターにこうされるためでもあった。明日の休みが待ちきれなかったのは、どちらも一緒だった。
「……あ……っ」
だがそれを、素直に口に出来るようならジミーではないのであって、ヴィクターもそれを知りながら楽しんでいるふしがあった。
「ジミー……？」
早くしろとか、さっさと入れろとか、そう言えればどんなに楽だろうとジミーは思った。涙と涎で顔はもうぐちゃぐちゃだった。
「……う、ぅ……っ」
懇願するように尻を突き出し、自らヴィクターを飲み込んでいった。目に見えないものを、勘で入れるのは具合のいいものではなかった。当然上手く入らないし、どころか見当もつかないところに痛みを覚えたりもした。「……っ……っ」
身体を突っ張らせて、それでも、どんな乞う言葉も口に出そうとはしないまま腰を震わすジミーの耳元に、ヴィクターはあきれた様子で囁いた。
「……おまえも、面白い奴だなぁ」
ヴィクターの言葉に、ジミーは瞬時に身体を熱くした。それから、今度こそ逃げようとじたばたし始めると。
「おいこら逃げるな。別にからかっちゃいねぇよ。そうじゃなくて……」
そう言ってヴィクターは、ジミーが待ち望んで得られなかったものを、ゆっくりと押し進めていった。
「…あ……っ…」
欲しくて欲しくてたまらなかったものに、やっと満たされたジミーは、一気に身体が蕩けていくのを感じた。
「ほんのちょっと、言えばいいものをどうしてこう」
ぐっと、乗りあがってきたヴィクターの重みと圧力に、ジミーは全身をふるわせた。この身体は、ヴィクターに犯されるためにある、と思った。
「……あぁあっ！」
「言えないのかねぇ……ほら、どう、だ？」
次々繰り出されるヴィクターの波に翻弄され、ジミーはちゃんとした言葉を発することは出来なかった。それでも、その動きに満足していること、ヴィクターに貫かれて嬉しくて嬉しくてどうにかなってしまいそうであることだけは伝えたくて、ジミーは何度も頷いた。「……ぶつけるぞ」
がくがくと、首の壊れた人形のようになっているジミーの顎を押さえ、そのままヴィクターは、開いたままになっている口に、噛みつくようにくちづけた。このままだと、ヴィクターの望みどおりのとんでもないことを口走りそうだったジミーは積極的にこたえたが、いかんせん体勢が悪く、すぐに離れてしまった。
「あ……」
まだヴィクターの牙を充分に味わっていないままだったジミーは、名残惜しそうな顔と声を出した。そんなジミーの様子に満足したヴィクターは、触れる必要もないほど張り詰めていたジミーのモノを掴むと、やわらかくこね始めた。
「…あ……、あぁ……っ」
前を刺激され、後ろを満たされ突かれ、ジミーは絶え入らんばかりだった。ヴィクターの動きに翻弄され、身体をくねらせ腰を振り喘ぐばかりの生き物になって、それでもまだ残っている羞恥に頬を染めた。声を出すことも出来なくなり、ヴィクターのからかうような動きに悪態をつくことも出来なくなる頃には、ヴィクターも無口になっていった。
「いいか？……どう、だ…？」
耳に届くのは、ヴィクターの熱い問いかけだけだった。それに何と答えたのか、記憶になかった。イってしまうとか、イイとか、もっととか、ヴィクターとか愛してるとか、大方そんなことを口走っているのだろうと見当はついていたが。ヴィクターで満たされていた。ヴィクターにしか満たされたくなかった。
何十年も生きてきて、それだけが望みだった。ヴィクターと、ずっと一緒にいること、それだけだった。ジミーの、せわしなくなる一方の息と競うようにしてヴィクターは腰を打ち付けていた。もうヴィクターにもジミーにも言葉もなく、あるのはただ互いの荒く弾む息づかいばかりだった。終わりなど、こなければいいと、どちらも願っていた。
「ほらよ」
まだ息が整わないでいるジミーの頬に、ヴィクターは冷たいビールの瓶を当てた。
「ん……」
ぐちゃぐちゃのどろどろで、自分は声を出すのもビールを受け取るのも億劫だというのにヴィクターのこの元気さはなんなんだと、兄弟なのに、同じことをしたのにと、理不尽だ、と思いはするが実際にそうあんんだから仕方がなかった。
うつぶせてソファにすがったままの格好では苦しかろうと、指１本だって動かせないでいるジミーを裏返してくれたのはヴィクターだったし、こうしてビールを持ってきてくれたのだってヴィクターだった。こんなに、精も根も尽き果てるほど痛めつけてくれたのもまた、ヴィクターなのだが。
それでも、カラカラの喉を通り抜ける水分は、それがなんであろうと甘露に等しかった。
「あ……」
生き返った、とジミーは思った。素裸で立ったままビールを呷るヴィクターが、自分の開きっぱなしの足や身体中に残る痕を見て、にやにやしているのは知っていたけれど。
「じろじろ見るな」
手近にあった雑誌を投げたが、当然のように避けられた。本当にあてたいわけではないから、それはいいのだが、満足しきった猫のような顔をしたヴィクターが隣にやって来るのは、少し居たたまれなかった。なんだかんだ言っていても、いつも自分はこうだった。まったくどうして素直になれないんだと思いはするが、最中にそんなことが言えるはずもなかった。「……何してるんだ」
隣に座ったきり、てっきりまた、最中の乱れようでからかわれるに違いないと覚悟を決めていたというのに。
「おまえの髪をいじってる」
それは分かっていた。短く刈り込んでいるヴィクターと違い、跳ね放題の髪を少し長めにしているジミーの髪をいじるのは、ヴィクターの癖だった。切ったら切ったで何ということもないのかもしれないが、少しでもヴィクターがそれが好きだというのなら、それでヴィクターが寄ってくる可能性があるというのなら、ジミーは絶対に切らないつもりだった。
でもなんだか、神経が通っているわけでもない髪なのに、ヴィクターが触れているのかと思うだけで、胸はきゅんとなるし顔は赤くなるしこそばゆいしあそこは反応しそうになるしと、ジミーにはなかなか試練だった。
第一、でかい図体した、歳を数えるのをやめて久しい大の男が『胸がきゅん』ってなんだ？とはものすごく思っていた。しかし、他に表現のしようがないから仕様がない。昔、ジャパンに行ったときに見たマンガというものにそう書いてあるのを見て以来、これはヴィクターといるとき感じる気持ちだと思ってしまってからは。
「それに面白い」
ビールの瓶は小さいので、ヴィクターあっという間に飲み干してしまっていた。だからといって、まだ中身の残っているジミーの瓶を狙う素振りはなかった。隣に座る愛しい男に髪をいじられてるなんてまるで、初心なデートみたいだと思うと、素っ裸にも関わらず、どんどん顔に血が集まってきて、ますます恥ずかしくなってきてしまうジミーだった。もっとすごいことをさんざんしておきながら、いまさら何を言っているのかとは自分でも思ったが、恥ずかしいのはどうしようもなかった。
ヴィクターに髪をいじられ、あますところなく見られたのだと思うと、身の置き所がなかった。
そんなジミーの気持ちが全部分かっているというわけではなかったが、多分また、奇妙奇天烈なことでまた、考えても仕様もないことを考えて、じたばたしてるんだろうなという察しはついた。
面白いので、そのままにしていたが。実の兄弟だとか男同士だとか、歳をとらないとか怪我の治りが異様に早いとか、考えてもしようのないことをぐだぐだ考えるのは、まったく余計なことだとヴィクターは思っていた。だからジミーのことを抱きたいと思えば抱くし、嫌だと言っても離さないし、ジミーがどうしても嫌だということは大抵聞いてやっていた。
天にも地にも、たった２人の兄弟なのだ。大事なのだ。どちらもそう思っているのは確かなのに、それがどうも、食い違うことは多々あったが。
「お、おもしろいって……なんだ……」
抗弁しようとしたら、まともにヴィクターの瞳にぶつかってしまい、ジミーの言葉は尻切れとんぼに終わってしまった。どうにもヴィクターのこの瞳に弱いのだ。冷徹な捕獲者のような、からかっているような、なんでも全部お見通しだというような、生まれる前からジミーのことを知っていた目には。「面白いだろう？大体おまえ、嫌だやめろって、さんざん最中に言うよな？」
「う……」
それはその通りなので、ジミーも何も言えなかった。ヴィクターに触れられるのが嫌なわけでも、ヴィクターとするのを拒絶しているわけでも、もちろんまったくちっともないのだが。
「そのくせ、あれだからな」
ジミーの髪から手を離したヴィクターは、今度はいまだ赤みの残るジミーの頬に触れた。もちろんジミーはハリネズミのように、全身の毛を逆立てた。
「あ、あれって……なんだ！」
かろうじて手の届くところに残されていたシャツを抱きしめてジミーは吼えた。こうじゃない、こんなことを言っちゃいけないと思うのだが、とまらなかった。
「教えて欲しいのか？いざとなると、とことろになって、「もっと」だとか「そこ」だとか「いい」とか「いく」とか言いながら、尻は振るしあそこはきゅうきゅうにしめまくるし、足で挟みこむし肩や背中は傷だらけにするし」
「……勘弁してくれ……」
ひとつひとつ数え上げるヴィクターに、ジミーは降参した。「まだあるんだが、もういいのか？」
「……充分すぎる……」
穴があったら入りたいとうなだれるジミーの肩に手をやり自分に寄りかからせるとヴィクターは言った。
「嫌なら嫌と言えよ」
「……ヴィクター？」
肩に預けていた顔を上げてみても、あいにくヴィクターの横顔しか見えなかった。
「ただし、本当に嫌ならな」
そう言い放ってジミーに向けたのは、ジミーが本気で嫌がっていないことなど、百も承知という顔だった。
「……そんなことはない、ぞ」
だからジミーも、ついそう言ってみたくなったのだった。言った途端ヴィクターが顔をこわばらせたので、してやったりと悪いことを言ったという思いが、同時に沸きあがってはいたが。
「本当に、嫌だ」
「………」
ヴィクターは固まったまま動かなかった。
「こんなに野太いのに、あんな声をあげたって気持ち悪いだけだろうし、こんなでかい図体した男が尻を振ってても醜悪なだけだと思うし、きれいでもかわいくもやわらなくもない男が追いすがっても鬱陶しいだけだろうと思うと、死にたくなる」「……ジミー？」
「それでもヴィクターが欲しいのが、本当に申し訳なくて悪くて済まなくて……もう……うわっ」
思い切って、常日頃考えていることを、すべて吐き出していたジミーは、完全に虚を突かれた。
「ヴィクター！？」
軽々と抱え上げられたかと思ったら、次の瞬間にはヴィクターの膝の上だった。
何が起こったのか何が起ころうとしているのか分からず、目を白黒させているジミーを引き寄せキスをした。
「ヴィク……んん……」
背中にあったヴィクターの手は、汗の乾き始めたジミーをするすると滑り降りると、両の尻を掴んで押し広げた。
「……ん、ぁ……」
すぐのところをヴィクターの先端がかすめ、突き出すような格好になった胸を、ヴィクターがざらりと舐めた。
「あっ……ヴィ、ク、た……」
くすぶったままの火は、またすぐに燃えさかった。
「ヴィク、タ……あ……あぁ…」
目に涙さえ浮かべながら身をくねらせるジミーに、ヴィクターは言った。「嫌なら、こんなことするか？」
浅いところばかりを突き上げられて、そのくせ落とそうとするジミーの腰を支えて、それ以上深く与えようとはしなかった。
「い、や……ヴィ、ク…ター……いや、だ……ぁっ」
かわいく身悶えるジミーの足はがっちり掴まれ、ヴィクターの足に阻まれ、どうしようもなかった。
「かわいいな、ジミーはいつも」
そう言ってヴィクターはジミーの顎を舐めた。
「や……やっ……」
自分を抱きしめるように回しているジミーの腕を解いて、ヴィクターは肩にしなだれかからせた。
「ん……ん……っ」
どうやってもそれ以上深く突くつもりがないらしいと判断すると、ジミーは唇を噛んで達しきれない快感に身をまかせはじめた。ふるふると震えているジミーのモノを弾き、浅く入った結合部を爪で撫で上げてやれば、ジミーは高い声でないた。頭を振るごとに髪と汗が追従した。
「それにきれいだ」
「……ん……そ……ぁあっ！」背筋の終着点を強く抑えると、ナカも反応して浅いながらもビリビリするような快楽が襲ってきて、ジミーはひときわ大きな声で喘いだ。
「いい声だ」
朦朧とはしているものの、ヴィクターの声は脳に届いていた。ヴィクターは、さっき自分が言ったことをすべて、証明するつもりだということも。
「……もっと、腰を振れ。そうすれば……入る」
言われるまでもなかった。ヴィクターの拘束の手がゆるんだ隙を見逃さず、そこは食いしめるようにしてヴィクターを絞り込んだ。
「あ……あ……ヴィクター……ヴィク、タ……あ……い、い……」
その上ヴィクターが、ジミーの発達した胸襟を揉むものだから、ジミーは自分がまったく女になったような錯覚を覚えた。
自分はヴィクターの女で、こうされるのが何より好きな淫売なのだ、と。
淫売でもなんでもよかった。ヴィクターがこう言ってくれたのだから。
「ジミー、ジミー……イイ、ぜ……すごく……最高だ……」
絶え入らんばかりなのは何も自分だけではないだと、自分をこんなによくしてくれているヴィクターも、ジミーの身体で快楽を得ているのだと、やがて感じたヴィクターの放埓と熱い吐息を全身で感じながら、ジミーはこの上ない満足を味わったのだった。
書きかけのままの続きを書いたら、
体位のイメージが違ってしまっていて難儀しました（笑）。
実はちょっこっとストライカーさんたちに登場願おうかとか思っていましたが、
話がおかしな方向に行ってしまいそうだったのでカットしました。
出てきても、材木屋で働くジミーにかっこよく声をかけようと思ったのに、
ヴィクターが待っているからとすっ飛んで帰っていってしまったので、
仕方なく家まで追いかけてきたものの、すでに最中の２人に声がかけられず、
ゼロとストライカーで、おまえが行けいやあんたが、
とやっているというだけのですが（笑）。