『Ｇ５９』
「オーリ、何もってんだい？」
ひょいっとジーンズのポケットからのぞいているものを失敬したのには
たいしたイミなんてなかった。
「！？」
紙袋に入っているそれは、小さな瓶のような手ごたえだった。
「返せよ！！ヴィゴ！！」
そう言われると。
「ドム！ビリー！オーリがダンスパートナーを探してるぞ！」
もちろん見たくなるじゃないか。
ドムとビリーがほいきたっ、と楽しそうな匂いにつられて
オーリを取り押さえる。
「ヴィ――ッゴ！！」
ガサゴソガサ。
「何だこれ？」
『Ｇ５９』
袋の中身はごく薄いピンクのボトルで
そう書いてあった。
袋の中にはなにやら説明書のようなもの。
「……サンオイル？」
「ちがうでしょ、キング。オーリが焼いちゃシャレになんないよ！」
「それもそうだ」
「なんか書いてないの？」
「ないな……、こっちはどうかな？」
うるさいのでオーリは、自分のシャツで口をふさがれている。
なんで手で押さえないのかって？
そりゃ誰だって、噛みつかれたくはないからね！
「『Ｇ５９』をお求めになったお客様へ
本剤は使用上の注意をよく読み……ウザイ。
なんだってんだ？あ？
あ？『セイコウツウをヤワヤゲルジュンカツザイトシテ』？」
沈黙は体内時計にして９秒ほども続いただろうか？
「オーリやっらしぃ――っ！！」
「ナニ買ってんだよ―――っ！！」
『オーリのスケベっ！！！』
２人に離してもらえたものの、
紙袋の正体を暴かれて、力なく崩おれた。
「オーリ」
オーリはべったり地面に懐いたまま顔だけ上げた。
涙目で。
「ふんふん、適量を手のひらまたは指先に馴染ませて」
とろり。
ローション、というよりは乳液の濃いヤツのような感じだった。
「その際、人肌までにあたためておくと、より効果が得られます。
なるほど」
よいしょっと。
くるくるとそこいらへんをなでる。
確かに素手で触っていた時よりも動きがいい。
滑らかなんでまた違った感じがする。
「ま、あとはこんなのなんかいらないよな」
ぽいっ。
説明書を放り投げた。
なるべく呼吸を深くするようにして、
何度もそこを指でたどる。
くるくるくる。
それじゃあ挿れてみるか。
しょっ、と。
「あ、すごい、入った」
唾液でやってた時には、こんなにスムーズにいかなかった。
「やっぱり効果あるんだなぁ」
感心してボトルを眺める。
『Ｇ５９』
今までは１本目から徐々に押し込むようだったのが、
あっさりと入っていった。
少し動かしてみても、
どこにもひきつれを感じない。
「それじゃあ、っと」
２本目をそっと。
今までなかなかそこまでは出来なかった。
それが今日は。
「……っ、った、な」
３本目を入れる前に、２本の指を動かした。
本当は指なんかじゃなくて、
どんなふうに動くんだろう？
「……っ、っ……はっ…」
中に入れた指で押し広げるように慣らすように、
残った指はあたりをゆっくりとなでまわす。
もう片方の手はＴシャツをまくりあげて、
つまんで、つぶして、なでまわして。
「………あっ………」
感じた、すごく。
これは石鹸なんかよりもすごくイイ。
ここに、あの手を。
ここに、あれを。
早く、ここに。
早く。
「ショ…ン…、あっ……、…ク……」
サンキュウ、オーリ。
……ある意味、電話でどうこうしたアレよりも問題作？（笑）
『Ｗａｋｉｎｇ ｏｒ Ｓｌｅｅｐｎｇ？』連動企画
「自分で慣らしているびご」でした〜♪
リクエストされたむーさんに捧ぐ！
返品不可のコト！！（笑）
お題の『Ｇ５９』をすぐにクスリに変換させるのってどうよ？（笑）
それにしてもオーリはまた不憫さを増したな……（苦笑）。