白 |
黒 |
「そろそろシロクロはっきりつけようじゃないか？」
えっ、とつきつけるように言っていても、内心震えている。でももう限界なんだ。
「はっきりしないことは嫌なんだよ。どっち？ あんたの気持ちは」
急にそんなことを言われても、と言わずとも分かるくらいに、あんたはあわてているよね、そういう奴だし。
ただもう俺だって。
「おトモダチなのか…それとも違うのか」
そろそろはっきりさせようじゃないか、ショーン。
俺の限界に免じてさ。
会いしなから、あんたは親切だった。
そうでなくとも旅の仲間の中では唯一の同族だったか、やがて打ち解けていくのはありがたいことだった。
おかげで出会いの頃の反目しあっているような頃を撮るのが――――少しばかりホネになってしまうくらいに。いの１番に脱落してしまう役だったから、緒に撮影出来た期間は短かったけれども、監督をはじめとするスタッフの凝り性もあって追加撮影が結構あった。
おかげで労せずとも仲間たちと再会することが出来て、あんたとも多少なりとも一緒にいることが出来た。
もちろん、最初の撮影ほどの密度は望むべくもなかったけれども。
つもおだやかに笑ってばかりいるような奴で、俺の破天荒な振る舞いにも（自覚はないがよくそう言われる）
驚いた顔はしても、迷惑そうな素振りは見せたことのない奴だった。一緒にいると楽しくて――――片思いのような友達だとずっと思っていた。でも。こんなに苦しくなるほど好きだなんて知らなかったんだよ。
いっそすべてを終わらせようと思ってしまうほどに。
さあ俺は賽を投げた。
あとはあんたの答えだけだ。
どうする常識人のショーン・ビーン？
「……言ってもいいのかい？」
投げやりになって、椅子に座ったままの俺の目の前まで来てあんたは言った。
きっといいしつけを受けているんだろうな、相手の目を見てものを言う。こんなときでもね。
目をそらさないようにするのが精一杯で、とてもその表情からあんたの気持ちは読み取れないよ。あんなに、あんたの考えていることなんてお見通しだよ、と言っていたのにね。
認めろというんなら認めるよ。ああ、俺は怖くて怖くてたまらないんだ。
今すぐ逃げ出したいくらいにね。
こんな思いをしてあんたの前にいなくちゃいけないのなら、言うべきじゃなかったと思わないようにするのに、どれだけ努力しているかなんて、きっとあんたは永久に知らないだろうけど。「言ってくれ」
でないと俺はあんたの気持ちをはかりかねて。
ずっと宙ぶらりんのままなんだ。
間違いなく俺に惚れている！と思うときもあれば、いやあれは単なる友愛だろうと思うときもあり、ひどいときには奴は親切なだけなのさ、とヤケ酒のひとつもあおりたくなり。まったくレンアイなんてするもんじゃない。
きっと昔、イージーな恋ばかりしてきたツケが回ってきたんだろう。
コイにもアイにも。
こんなに苦労したことはなかった。
いつも向こうから言ってくるかイイな、と思ってモーションをかければ落ちた。
だから自惚れていたツケが今になってどっと押し寄せているんだろう。今までの皆さんごめんなさい。
だから。
勘弁してください。力をください。誰に願えばいいのか分からないけど。「ショーン！？」
いきなり襲われた。
でろでろになったＴシャツの裾はたくし上げられて、喉元にはショーンの唇。夢にまで見た唇。
「なん…なんだよ、おいっ…！」
「後で言うよ、後で話す今はちょっとじっとしててくれっ！」
「って言われたっておい！俺が襲われ役なのかっ！？」
もっとも大事な役割分担について俺が物言いをつければ。
「言い出したのは君だろう！」
ちょっとぐうの音も出ない返事をされてしまった。そりゃそうだけどさー、俺にもプライドってもんがあってさー。
「……気持ちヨクしないと承知しないぞ」
でもとりあえず、俺のことを襲ってもいいほど好きなんだろうということで、不問に帰してやることにした。
ああ！俺ってなんてイイ奴なんだろう！
「……なんだかそれまで白黒だった世界がカラーになったような気がして……、おい？聞いてるのか？」
「ねーむーいー」
「君が聞きたがったんだろ！ほら起きて聞けよっ！」
「あーとーでー」
真っ赤になりながら俺への想いを語っているだろうところは大変見たいけれども、いかんせん体力がついていかない。眠い。それというのも。
「あんたが無理させたからなんだから今日はもうなしー。つづきは明日なー」
「っておいヴィゴ！」
「ぐー」
「明日私にまたこんな恥ずかしい話をしろって言うのかーっ！？」
おやすみなさい、また明日。
「ぐー」
「ヴィゴ−っ！！」
なんとなく左寄せにしたかったので急にレイアウト違います〜。
タイトル『白黒』と聞いて真っ先に思いついたのが問い詰めている彼氏でした（笑）。
と、なると問い詰められているのはもうアノ人しかおるまい！とこうなりました♪
ナマモノ久しぶり〜。たいしてやっていないけど。
これはやはり先週末たぎった人たちとご一緒したからね♪
ってなわけで彼女たちに捧ぐ！
ホントよ？
読みたいといってくださったびゃーさんにも捧ぐ！（笑）