ロヒアリムの男たち
「上手くいってよかったな！これならきっとセオデンさまもお咎めにはなるまい！」
「なんてたってあんなオークの集団を見過ごすわけにはいかないしな！」
「あの『蛇の舌』のくそ野郎さえいなかったらなぁ！」
「そうとも！セオデンさまだって俺たちにさっさとオーク討伐の命を下されたはずさ！」
「しかもおいおまえ知ってるか？あのくそ野郎ときたら、エオウィンさまを狙っているそうだぜ？」
「げー！身のほど知らずにも程があるってんだ！！」
「まったくだ！ああ、お許しさえあれば、いますぐぶん投げてやりたいもんだ！」「……ああ、お、俺はなんて口の利き方を……」
「ウチの大将はさっきからなーにぶつぶつ言ってるんだ？」
オーク狩りの帰途、変な異種族連合とも別れ、心ははや意気揚揚としたエドラスに戻ってしまっているロヒアリムたちだった。
「ほら、あれだよ。さっきの変な連中。嘘か誠かエレンディルの末裔だっていう奴がいただろ？どうもそのことについて言ってるみたいだぜ？」
馬上の会話なので、実は結構つつぬけだ。しかし、当のエオメルをのぞいてごく少数以外のものは、聞こえたその言葉にうんうんと頷いていた。
「ああ、あの小汚い野伏。あれがどうかしたのか？」
「いやほらウチの大将伯父さん子だろ？知性派アニキ系に弱いじゃないか……」
「あああ……。もろに大将の好みだったか……」
「ものすごーく、な」
ロヒアリムの男たちは、いっせいにため息をついた。「これも大将に女っ気がないから……、でもないか」
「猥談にも乗るし、一緒に娼家にいった仲だろう？女に興味がないわけじゃないけど……」
「でもそんなに積極的でもないよな？」
「まあそれは置いといて。それで何か？あのアラゴルンとかいう奴にメロメロになっちゃったってのか？」
「なっちゃったんだろうねぇ……。ああ、エオサイン殿の目が釣りあがってる……」
「殿、いつまで同じことを言うおつもりです？」
「しかしエオサイン……、ああ、何故俺はあんなことを……。緊張するとえばりんぼうになりがちだから気をつけろと、エオウィンにも亡き母上にも何度も言われていたのに……」
「相手は無位無冠の野伏ですぞ？何故我がローハンの大将がそこまで気にする必要がありますか」
「ああ、アラゴルン殿……、お気を悪くされてエドラスには来てもらえぬかもしれないな……。それよりもどうして、ひきずってでもお連れ申し上げなかったのかが悔やまれる……」
「あのアラゴルンとか申す者がバカでなければいずれ来るでしょうよ。用がないわけでもなさそうでしたからな」
「……なんだか夢のようだったなぁ……。草むらから急にあの方が現れたのだ。なんと気高いご様子だったことだろう。ああ、アラゴルン殿……」
どこが？と顔には大書きにしたものの、聞いちゃいない大将にそれ以上は言わない懸命なエオサインだった。「是非もう一度お会いしたいものだ……。そして轡を並べてともに……。ああ、アラゴルン殿……」
すっかりやられきってダメダメになってしまったエオメル、２７歳の春、遅い初恋とも人は言う――――。
これも一応「スピーク！クイックリー！！」の流れ？（笑）
体育会系ロヒアリムは書いてて楽しかったです♪
もちろん謹んでぷうさんに捧げたく♪（笑）