◆再会、あるいははじめての出逢い。そして、おそらくすべてのはじまり、の図◆

Picture by 松浪律　様 　侍女であるという女に、すでに水は吐かせてあったので、もう手を貸すことはあるまいと思っていた。 　主であるという少女は、たいそうかいがいしくその世話をしていた。 　あまり関わりあうのは良くなかった。 　自分は所詮流れ者なのだから。 　しかし、冬の海に落ちてしまったと助けを求められては致し方なかった。あとは一刻も早く立ち去るのみ。 　幸い身につけていたものでなくなったものはなく、前主からの紹介状も無事だった。仔細に眺め確認したそれをまとめようとした時に人の気配に気がついた。 　この少女の身なりから言って、誰か伴回りのものがやってきたのか。 「フィンドゥイラス！」 　足が地面に縫いとめられた。 　一刻も早く立ち去るべきだ。 　いやもう遅い見咎められてしまっただろう。 　本当にそう思っているだけなのか？本当に？ 　本当だとも、二心などない。 　こんな時でさえも。 　出逢えて嬉しいなどということは――――。 拙作『この椅子に座る誰か』のイメージからいただきました。 松浪さんありがとう！！ きっとソロンギルは内心嬉しいくせに、人が見たら「なんであんなにデネソール殿ことを睨んでおられるんだろう……？」というくらいに見つめちゃってるに決まってますわ♪ イヤですわね、初恋同士って不器用でっ！（笑） 　 　 モドル＞＞