Dessert at midnight
「そういえばさ」
２人きりで、久しぶりに会えて、このあと時間あって、泊まることになっていて、明日も明後日も一緒にいられて、さらにこれといった予定なしとくれば、優雅なディナーの後にすることなんてのはおのずと決まっていた。
「うん？」
まず君から、とシャワールームに押し込んだので、心配といえば酒の入ったヴィゴが寝てしまっていないかどうか、ということだけだったショーンは、ヴィゴの目がパッチリ開いていたので大満足だった。
「改めて考えてみるとさ」
ヴィゴのおしゃべりは、いうなればピロートークみたいなものなので、ショーンも気にせず先に進んだ。すなわち、シャワーを浴びてきたバスローブ姿で、同じくバスローブ姿でベッドで膝を抱えていたヴィゴにキスをしたり、手を握ったりそこから派生して、腕や足に触れたりということを。
「うん」
ショーンはヴィゴの筋張っているところが好きだった。本人は必要な筋肉や脂肪はついている！と主張しているが、どちらかというと年相応ながっしり体型と比べると絶対に細い、と思っていた。かの共演作『ロード・オブ・ザ・リング』のＤＶＤを見せながら力説までしたが、あれはアラゴルンだからとか、あのときはちょっと体重が落ちていたからとか言って、自分が痩せていることを認めようとはしなかった。そりゃ若い女性ほどには細くはないが。
その筋肉を追って、掴んだ腕から落ちていくバスローブの袖に導かれるように、軽いキスと息で追いかけていった。ヴィゴはヴィゴで、話しながらショーンの髪に指を差し入れていった。「不思議な感じがしないか？」
「何が？」
こうなったことが、とでも言うのだろうか？
ショーンの考えつく『不思議』とはそのくらいだった。
何しろ今は久しぶりの交歓を存分に味わうのに、忙しいのだ。
「自分に子供がいるってことがさ」
ぶっ。
顔を合わせるついでに、ヴィゴの襟元をくつろげていたショーンは吹いた。さらには手が止まってしまった。
「どうした？」
ヴィゴはよしよしとショーンの背中をさすりながらそう言った。
「……最中に何を言い出すのかと思ったら」
どうにか立ち直ったショーンは、とんでもないことを言い出すヴィゴの口を抓み、ついでに鼻も抓み、顔をしかめたところでキスをした。もちろんそれはどんどん深くなっていき、ベッドのボードに寄りかかっていたヴィゴはショーンのキスに熱中していくうちに、ずるずるとベッドに横たわることになったのだった。
「何だってまたそんなことを言い出したんだい？」
子供のことを考えるとやっぱり、こういう関係は良くないと思うんだ…とかなんとか言い出して、今までのことすべて、なかったことにしようとかそういうことだったらこっちにも考えというものがあるよ、という意思を分かりやすくかつはっきりと示すため、ショーンはヴィゴの手首を押さえつける力を強めた。「いて。痛いってばショーン」
案の定ヴィゴは手首に跡がつくと困るんだからとか、痛いのは趣味じゃないんだ生憎だけど、とか何とか言いながらギブアップを表明した。もともとそんなに痛いというほどでもなかったが。
ただショーンが真面目そのものといった様子で、怖いくらいに真剣な顔をするものだから、ちょっと嬉しくなってしまっただけだった。こんなんで嬉しくなっちゃうなんて、もしかして俺ってマゾの素質あり？とか己の性癖嗜好について考えながら。
「どうなんだい、ヴィゴ」
ヴィゴとしては、馬にも人にもよくするように頬を撫でてよしよしとやりたいのだが、ショーンに両手首を拘束されているのでそれもままならなくて、それについてまず開放を要求したいところだった。
「そんなことないから安心しろ。あとこの手、離してくれると嬉しいんだけど、ショーン？」
間違ってもからかっていると思われたりしないように、ヴィゴとしてはとても真摯に言った。つもりだった。しかし、彼我の間には常に見解の相違というものが存在するように、このときのショーンとヴィゴの間も、同じことを考えて、納得しあって離れたわけではなかった。残念ながら。
「それじゃあなんだってそんなことを……」
言いながらショーンは力が抜けていくのを感じていた。
もしかしたらもしかして。そんな風に考えれば、どんどん悪い方へ暗い方へと思考は流れていってしまうものだから。「いや素直な感想でさ」
崩れるショーンを抱きかかえるようにして、よっこらしょとまたヘッドボードのお世話になった。
くすん、と今にもすすりあげそうなショーンのシャワーの湯気でほわほわになった頭を、よしよしと撫でながら。「女は自分の腹で人間を１人育てるんだから実感があるんだろうけどさ。産むのも産むまでも大変だからさ」
また今度は何を考え始めたんだろう、とショーンは思った。この、自分から見ればずいぶんとインテリジェンスあふれる恋人は、面白いことを考え出して実行するので有名で、かのトリロジー撮影中には、ありがたいんだかなんだかな二つ名まで頂戴していたくらいだから。
その、予測想像も出来ないところがまた、ショーンにはたまらない魅力のひとつであるのも確かなことなのだが。疲れることがないでもなくて。
「そう考えると、不思議だなぁ、と思って」
なあ３人の娘のおとーさん、とヴィゴは笑った。それはもう晴れやかに。
「ヴィゴ……」
「それにさ」
大の大人で男でも、よしよしと頭を撫でられれば、気持ちのいいこともあって、それがまたこんな風に心を許した相手ならなおさらで。
「え？」
「こう足を開いてさ」
ショーンを抱きしめていた手を離して、ヴィゴはショーンを挟み込むようにしていた立派な足をちょんちょんとつっついた。なにしろバスローブしか着ていなかったから、そうやって膝を立てていると腿の付け根まで見放題で、脚線美をたっぷり堪能できるという訳だった。「間に誰かに入られるのが、こんなに嬉しいなんてことはさ」
今度はヴィゴは、たくらみごとのあるときの笑みを浮かべ、ショーンの首を抱き寄せ囁いた。
「こうならなきゃ分からなかったと思うわけよ」
そう言ってヴィゴは、驚いたような表情のショーンの頬に、ちゅっと音のでるキスをした。
「ヴィゴ……」
アイラブユーとかそれに類する、でももっときわどいことをショーンの耳に吹き込みながら、ヴィゴはショーンの足腰を、離すまいと絡めとって挟み込んで、さあ早くいらっしゃいとでも言うようにぐいぐいと自分のほうへと引き寄せていった。
「……確かに」
ショーンは肩を軽くすくめて見せると、ヴィゴの足をしっかりを抱えなおした。
「ここに陣取ることが出来るってのは」
「わっ」
立ち直ると早いのはショーンの特徴で、今もさっそくお留守になっていたヴィゴへの干渉を再開させた。
「望外の喜びだな、うん」
「わ……ぁ……」
抱えていた足から手を離し、その大きさを遺憾なく発揮するショーンは、ヴィゴのモノをかろやかにこねくりまわしながら、伸ばした指でさらに奥までをも攻略し始めた。「ショ、…ショーン……」
ここも、というようにヴィゴは、抱きすくめたショーンの顔がくちびるが、望む場所に当たるように導いた。
ヴィゴの意を受けて、ショーンは目の前に来た突起を口に含み、音をさせながらしゃぶり、唾液に濡れてから外気に触れる刺激に固く立ち上がっていくものを、ちろちろと舐め舐った。
「光栄だ、……ヴィゴ……」
「うわ……わ……ぁ……っ……」
上も下も、あらゆるところを同時に愛され始め、ヴィゴは熱に浮かされたようになっていった。
ショーンのくれる熱に浮かされて、ショーンと感じる快感に、酔いしれていった。
「ここへ……それとも、こっちに……？」
「あ……あ……」
言葉にするのがもどかしく、ヴィゴは下を彷徨うショーンの手を取って、ここをもっとと教え示した。
ショーンはわざとそこをはぐらかしながらも、最後にはヴィゴの望みにこたえた。それはすなわち、ショーンの望みでもあったからだった。
「ここ……？」
「あ、…はや…く……」
「待って、まだ……」
「あ……く、…ふ、ぅ……」
ひとつになって、さらなる高みへ、という望みに。
Ｗｅｂ拍手ありがとう小話第４９弾のつづきです。
あの後いかにしてヴィゴが、おいしくいだかれるか
どうにも気になりまして（笑）。
理解あるお子さんたちと
理解ある友達に囲まれて
（あきらめられている、とも言う）
今日もがんばれ！遠距離恋愛！！
応援してやまないのでした（笑）。