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くるり、と指を回された。
「あ…っ…あ……っ」
「……立ってきた」
「……な……ひ、あっ……」
嬉しそうな声で確認するとショーンはこねくり回していたそこを、ペロリと舐めた。声も出ない。
「――――っ！」
「……かわいいな。ほらまだ硬くなって……ちぎれそうだよ、ヴィゴ」
「…しゃ、…べらないで……あ、あっ…」
唾液にまみれただけで、気が遠くなりそうなくらいに感じているのに、咥えたまましゃべられたらたまらない。
――――たまらなく気持ちよくて、もうどうにでもしてほしいと懇願したくなって、腰が勝手にショーンを欲しがってゆらめく。
「おいおい気が早いな。こっちはまだ前戯で手一杯だっていうのに」
笑っているのを睨みつけても効きやしない。あいているショーンの手が、背骨の消失点をなぞるだけで、背は震える血は集まる。どうしようもない。「なぁ…も、たのむ…からっ……」
前戯も愛撫もなんでもいいからはやく！と言ったって、叶わない望みだっていうのは分かってる。いつだってそうだ。
こっちが泣いて泣いてどろどろのぐちゃくちゃになるまでつくりかえて、それから柔らかくなった身体に挿入ってくるのがショーンのお気に入りなんだから。
ならせめて。
「どれ」
そう言って、ショーンはいきなり指を突っ込んだ。
「ああ、これはすごいな。今すぐでも大丈夫そうだ。はじめの頃はあんなに大変な思いをしてやっと挿入れてたっていうのに、もうこんなにとろとろになってる……」
息だけで泣いた。それだけで達っしそうになって、もっと奥まで探って欲しくて、懸命に身体を動かした。
「こっちはいいのかい？」
口は乳首を咥えながら、右手は中に入れて、左手でとっくに滴り始めた先をつままれてまた身悶えた。
「あ……っっ！」
先端を塗りこめるように小刻みに動かされる。息も出来ないほど感じてしまって、涙がこぼれた。
「……はやく挿入れたいのはやまやまだけどね」それからももう、じらされることといったら、どうして発狂しないのか不思議に思うほどだった。
自分でしてしまいそうになってはショーンに止められ、その手を舐められた。ショーンは何もかもを自分手でしたがる。言いつけられもしないときに手を出すのはご法度だった。勝手な、勝手なショーン。
「や……、や、も…お、ショ……ン」
「何が嫌？……ほら、ここはこんなになってるよ……。あふれてる……」
うっとりとした声で囁かないで欲しい。なにもかも投げ出して、捧げたくなってしまうから。
「も……い、か、せ…て……ね、がい…」
頬はもう、涙でぐしゃぐしゃだった。ときどきそれをショーンが舐める。身体中、ショーンの舌の触れていないところなんてないように。
「まだ、だ。まだ、……ここを味わっていたい……」
細く尖らせた舌で、中やまわりを嬲られすぎて、かすかに痛みを感じるほどだった。それでいて手は放出を押さえるために掴まえたままで。
もうショーンの頭を、押し付けたいのか引き剥がしたいのか。「まだ泣いてるのかい？よくないのかな？」
ようやくそこは解放された。された途端に空気が触れ、それがまたたまらない気持ちにさせる。
ショーンの無慈悲な言葉にはもう、首を振ることしか出来なかった。
「ならそんなに泣かないでくれないか？まるでわたしがいじめているみたいじゃないか」
いじめてるんだよ！と言いたくてでも声が出ない。喉はだいぶ嗄れてしまっているし、子供のようにしゃくりあげてしまっていては、どのみちろくにしゃべれやしない。
「泣いている子には、何をあげれば泣き止むんだろう？これかな？」
ショーンはそっと手を取ると、とっくに猛っているショーン自身に触れさせた。今すぐにここに挑みかかりたい衝動を、喉を鳴らすことでどうにか押さえた。
「ショーン、ショーン……」
どうにかそれだけ言うと、あとは言葉にならなかった。また涙が、持ち主の意思にはおかまいなしにぽろりとこぼれた。ショーンとセックスするといつもこうだ。こんなに泣かされてばかりいるのに、どうしてもきらいになれないなんて、絶対なにか間違ってる。「どうして欲しい？ヴィゴ？ちゃんと言ってくれないか？きみのこの……」
指をくちびるにあてられた。それがもう愛撫で。どうしようもなく感じてしまって。何度このまま達してしまいそうになったことだろう。うっとりとショーンを見上げた。
「来て、挿入れて…、ショーン…」
「挿入れるだけかい？」
見下ろすショーンはにやにや笑っている。どうしても全部言わせたいのだ。こっちがそれでどんな風になるのかを、百も承知で。
「挿入れて、かき回して、擦りあげて！息も出来ないくらいに！」
よく出来ました、と言うように、ショーンはごほうびをくちびるにくれて、ようやく脚を抱えてくれた。
とうとうやってきたその時に、どうしようもないほど胸が震えた。もちろん期待に、だ。
どの一瞬も逃したくなくて、ショーンが先端を触れさせたところから一生懸命覚えておこうと思う。――――それが最後までもったことはないのだが。「……音がしないか？」
「なに……いま、話し、か……けない…で…」
やっとすべて収まろうとしているのに、いまは他に何もいらないのに、ショーンはわざと声をかけて集中を妨げる。
開けた目の焦点がなかなか合わない。とっくにカタチを覚えているそこが、いっぱいになっているショーンを嬉しそうに取り込んでるってのに邪魔をしないで欲しかった。たとえそれが、当のショーンであっても。
「水音がする。きみがわたしを歓迎してくれてる音だ」
その瞬間、下肢から急に水音めいたものがが聞こえてきたような気がした。恥も外聞もなくショーンに足を絡めて、もっと深く欲しがって、どこもかしこもショーンにこたえていることが恥ずかしくなる。揶揄されたような気がして。
「……嬉しいよ、ヴィゴ」
頬にキスをひとつ。それから。
ショーンは動き出した。「あっあっ……あ…っあ」
はじめはゆっくりと、でも確実にショーンは好むところをついてくる。口はバカみたいに開きっぱなしになってしまう。息を確保するのも難しくて。ゆるく回すように腰を使われると、それにあわせてこっちも動く。もっと、もっとと。
「ショーォン、…あ、…い……そ…こ…っ」
でもじきにそれだけでは物足りなくなっていく。おそろしいまでの貪欲さ。じらされきってならされきったそこは、こんなおだやかな動きは前哨戦としか思えなくなっているのだ。
「そ、こ、あ、もっと……、っと……！」
「……そんなにしめつけていたら動けないよ、ヴィゴ？『もっと』どうして欲しいんだい？」
自分だって息が上がっているクセに、ショーンはあくまで諧謔をやめようとしない。ああもう、なんでもいいからもっと奥まで強く！
「……もっ…と、き…て、奥、…っとお……くっ！！」
「きみはずいぶんなわがままを言っているよ、ヴィゴ。それならここを少し、なんとかしてくれなくては……」
そう言ってショーンは俺の立ち上がりきったものを思い切り掴むと、その衝撃でさらにしめつけて狭くした奥を、一気に攻め立てた。
「――――っ！」死ぬか、良くても気を失うかといつも思う。でもまだ死んだことも気を失ったこともない。一瞬くらいは死んでいるかもしれなくても、すぐに呼び戻されるからだ。
また、涙があふれてくる。
「……望みを叶えてあげたのに、どうして泣くんだい、ヴィゴ？」
「ちがっ、……ショ……、ショーン、ああ、……あ、…あ……」
よくて、もうどこまでが自分の身体で、どこからがそうじゃないのか分からなくなるほどだった。
ショーンの与えてくれる感覚がすべてで。この快楽がすべてで。
「ひっ……！」
もうこれ以上は、ということがショーンには存在しない。
これ以上ないほど犯されていると思うのに、尻を抱えあげられて、根元までぎっちり入れられてそれから嫌だと泣き喚いても抜いていく。その出入りする刺激だけで、たったそれだけのことでこんなに気持ちがいいだなんてどうかしている。絶対におかしい。おの身体はおかしくなっている。
「も…っと、ショーン…、ダ…メ……、やめ、て……そ、んな……あ、あ、あっ……」
言っていることも支離滅裂だ。ショーンも取り合わない。
「……どうして欲しい？ヴィゴ？」
また聞かれた言葉に、朧にかすむ意識で答える。
「……犯して……、もっと……メチャクチャにして……、もっ、と……ショーン、も……っと……し…、て…」
ずる、っと抜かれる感触に身震いが出た。
ショーンのモノから滴り落ちるぽたぽたという音は、耳に染み付いてはなれない。
さんざんじらされた挙句に、気が狂いそうなほど感じさせられた場所は、かなりな熱を持っていながら、いなくなったモノを惜しんで鳴いている。
「きみのここが」
そう言ってショーンは動けない俺を見下ろしながら笑って言った。
「なかなか離してくれないから」
それから覆い被さってキスをひとつ。
「だいぶ疲れてしまったようだね」
確かに、いまは指一本動かすのも億劫だ。
「よかったら眠るといい」
でもそんなことにはならない。
「大丈夫、その間もわたしは――――ちゃんときみを犯していてあげるから」
初出『ｐｏｌｅｐｏｌｅ』さわこばとさま。
確か、たまには攻め攻めしい豆が見てみたいとか
言葉攻めな豆が見てみたいとかそういう話になって
それじゃあやってみましょうかね、と思って書いた話だったような？
何しろむかーしの話なのできっかけもうろおぼえデス(笑)。
ウチの話は豆藻もボロアラもアキヘクもとにかく
らーぶらぶのあーつあつが基本前提みたいなもんだからなぁ(笑)。
でもこの、キチク系な豆の話はお気に入りだ！