「少しこうしていてもいいかい？」
「もちろん」
珍しいこともあるもんだと思いながらも、ヴィゴはショーンの伸ばしてくる手に応えて身を寄せた。
（いつもと立場が逆だな）
そう思いながらも、口元が緩んでしまうのが止まらない。
そっと伸ばされたショーンの手は腰に回って、邪魔にならないようにと伸ばした手はショーンの耳の後ろに落ち着いた。大丈夫？気持ちいい？こうされているのは、嫌ではない？この手は、少しはあなたの役に立っている？
そう思いながら髪をなぜる。
体中の力を抜いて。
すべてを委ねきっている人を。
とても愛しいと思う。
心が満ちる。
なんだか無性に人恋いしくなって、ヴィゴに手を伸ばした。
甘えているな、とは思ったが触れることで、身を寄せることで癒されたくて仕方がない。（いつもと逆だな）
かわいらしいわがままを言って、自分を安心させてくれる人が、今は包み込むようにいてくれる。その喜びを何にか感謝する。ありがとうありがとう。
こうして目を閉じていると、とても自由でいられるんだ。
何も不足はない。すべてが満ちている。
「寝るなよ、ショーン」
「寝ないよ、ヴィゴ」
そんなもったいない。
ただ、この至福のときをもう少しだけ。