「まさかこの日が来るとは思わなんだな」
「まったくです」
まもなく船は、港に入るところだった。
ペラルギアで海賊から奪った船に乗っている生きた者は３人だけだった。あとはすべて亡霊。
その昔は確かに生きてはいたが、長いこと許されぬままにずっとあの洞に籠もっていた。
もはや怒りのとける日は、許されて憩いを得ることはないのだと。
この世がすっかりつくりかえられる日が来るまでは、自分達に生き物として行くべきところへ行くことは出来ないのだと。
遠くに港と、そこで勇んで待っているオークの姿があった。あれを屠り、王都に巣食うものどもを残らず平らげればすべてが終わるはずだった。あの時の判断の誤りを、取り戻すことが、とうとう出来るのだ。
「これが最後か」
「はい」
永の年月を隔てた、最後のひと働きの時がついにやってこようとしていた。