祈ることがすべてだった。
他に何が出来ただろう？
誰か誰か誰か。
何か何か何か。
助けてくれ助けてくれ助けてくれ。
あいつを助けてくれ。俺がすべて悪かったんだ。
あいつがつきあってくれるのをいいことに、こんなところまで連れて来て。
走るのはあいつの習いだからって。
あいつと俺とで走れば、いつだって負けなしだからって。
俺の立つ場所の為にあいつを、
犠牲にしていい訳がないのに。誰か誰か誰か。
この土地の神さまレースの神さまなんでもいいから誰か。
あいつを助けてくれあいつを殺したくないんだ。
俺のわがままのために死ぬあいつを見たくないんだ。
どうかどうかどうか。
助けてくれ助けてくれ助けてくれ。父の神さま、母の神さま、ヒダルゴの神さま。
どうかあいつを助けてください――――。