「それじゃまず乾杯！」
運ばれてきたビールのジョッキを前に、ピピンが言った。
「何に？旨いビールに？」
ジョッキに手をかけメリーが尋ねた。
「『無事の帰還』でいいんじゃないかな？」
そんなやりとりを楽しげに見ながらフロドも言った。
「それじゃあ『ホビットの帰宅』ですだね！」
楽しげに、胸躍らせながらサムが宣言した。あまりにきっぱりとそう言うので。
「それじゃ『ホビットの帰宅』に！」
『乾杯！！』
４人全員が唱和した。「それからアレかな？」
「やっぱりアレでしょう！」
「うまくいくといいね」
「ロージーは断らないよ、きっと！」
「むしろ『おっそーい！』とか言って怒られちゃうんじゃない、サム？」
「そっちのほうがありそー」
想像に笑いながらも、彼らは奥にいるロージーのもとへ行ったサムのことをちらちらと見ていた。「……ロージーが笑顔で怒ってる」
「額に立ってるの、あれ青筋じゃない？」
「がんばれがんばるんだ、サム！」
「サムが手ぇ握った」
「あ、ロージーが怒りながら喜んでる」
「大丈夫かな？」
「大丈夫だといいねぇ」
「おまえもな、ピピン」
「なにおう！君こそ！メリー！！」
あはははは、とフロドが笑った。
みんな笑って、いた。